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Yuji's Blog

ハンベエは今回依頼した謀略工作の直前に

ハンベエは今回依頼した謀略工作の直前にイザベラが見せた菩薩顔を頭に浮かべながら、妙な気分になった。不意にイザベラの身に不安を覚えた。今まで冷酷非情、容赦なく敵を屠る性分であると見て取っていたイザベラの本質が変わりつつあるように感じ、その魔力的なまでの強さを失ってはいまいかと焦ったのである。尤も一瞬であった。無想剣の境地を体験しているハンベエは、いざ窮地に陥ればイザベラも又習い覚えた身を護る本能で動けるだろうと思い直したのだった。(まあ、アイツも今回の工作は流石に一人では手が回らないのだろう。イザベラの眼鏡にかなったんだから信頼できる奴なんだろう。色んな意味で・・・・・・。)それにしても、妙にモヤモヤするが何だろうとこの若者は思った。荷馬車を追跡した監視員達は、あの後合流して急峻を転げ落ちて行ったモスカ夫人と思われる女人を周辺隈無く捜索し、かつ百余名の応援まで求めてそれこそ血眼になって探し続けたが、追跡中に拾っinternational school grade levels た手提げ鞄と斜面を転げ落ちた時に木に引っ掛かって破れた物とおぼしき服の切れ端の他は何も見付けられなかった。引き続き捜索を続ける一方、手提げ鞄を携帯した監視員一名を伴ってタンニルはナーザレフへの報告に向かった。例の荷馬車の御者をしていた兵士崩れ風の男がゲッソリナに現れたのは、その三日後である。ゲッソリナからボルマンスク方面には王女軍がある程度の哨戒線を置いていたが基本的に人の往来を妨害する意図は無く、通行は自由であった。哨戒に当たっている兵士達は早馬を飛ばして行くその男を見掛けたが、馬一頭に人一人、通るに任せて見送った。特に報告を行う様子も無い。男はゲッソリナの王宮に真っ直ぐに向かい門前で馬を止め、ひらりと軽い身ごなしで降りた。夕暮れ間近であった。時刻柄、朝に出直すべきかと思案したのか、少し考え込んでる様子であったが、馬を離れて門衛に近付いていった。馬は慣れたもので、その場に立って待っている。門衛は四名で槍を持って立っているが、ボルマンスクとの緊張状態が反映している為であろう、粛然とした面持ちで顔付きも厳しい。だが、ゆっくりと寄って行くその男に特別警戒を深める様子もなく、落ち着いた眼を向けたのみである。協力者を現地調達したらしい。名をヒューゴ・ドラクールと言い、ゴルデリア王国の辺境に住まうちっぽけな領主の三男坊で当年二十七歳。ステルポイジャン軍が貴族を召集した際に誰も参加させないわけには行かないだろうと、一族の代表として貴族軍に参加させられたらしい。供も連れずの一人参加であった為、扱いは下っ端兵士だったらしく、ステルポイジャンにもゴルゾーラにも又貴族軍にもあまり良い感情を持っていないどころか、反感すら懐いている。と、イザベラは伝えていた。剣術の腕も相当のものを持っているし、肝も据わった使える奴だとも、イザベラは知らせて来ていた。王女軍に鞍替えするよう説得したから、訪ねて行ったらよろしく。身なりは全然気取らないけど、気位は相当高いから扱いには気を付ける事とも注意している。イザベラ、何かアイツ変わったか。人材スカウトなんて似合わねえ事を。粘土が固まらないってのは俺だけの事じゃないのかな?)

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