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Yuji's Blog

これらの書き物はボルマンス

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これらの書き物はボルマンス

これらの書き物はボルマンスク側の手には渡っていない。「ボーンにも確認してみるか。」とゴルゾーラは独り言のように言った。今や太子ゴルゾーラはモスカの生存をほとんど疑わなくなってしまったかのように見える。イザベラとの秘密通信、そして先頃王女エレナの前で書き上げたボルマンスクへの返書の下書き等であるが、 奇怪なのは、相談役であるべきナーザレフがそのゴルゾーラの判断を危ぶみもせず、むしろ正常な判断力を失っているのをほくそ笑んだかのようにも見えた事である。ナーザレフも又その手紙が、ハンベエからモスカに宛てられた物と信じ込んでいるものかどうか、その心中は不気味なものがある。「ただ、この手紙の内容は他の者には奇っ怪過ぎて、思いも寄らぬ風聞が起きるやも知れぬ。厳重に秘匿し、一切誰にも漏らすな。」最後にゴルゾーラはそう締め括った。およそハンベエを知ろうほどの人間なら、笑いこそすれ、誰も本気にしないであろう怪文書が、反ってゴルゾーラのモスカ生存への疑念を消す為の大きな一助になってしまったのであるから、『おいおいっ』の一声も掛かりそうである。その後、口に出した通り、試管嬰兒價錢 ゴルゾーラはボーンにもハンベエの筆跡の判る物は無いかと問い合わせたがボーンも又サイレント・キッチンも筆跡情報を有していなかった。手紙の内容については、当然知らせない。仮にボーンが知るところとなった日には、有り得ねえと腹を捩らせて笑い転げるのを我慢しながら、『有り得ません。ハンベエとモスカ夫人が通じるなど天地がひっくり返っても起こりえない事ですし、そもそもハンベエという男は・・・・・・。これはふざけ切った敵の謀略、モスカ夫人の生存だって大いに怪しいもの。どころか、気に留めるのも愚かしい事です。』と真顔で諫言したに違いない。悲しい事にボーンにその機会の回って来る事は無かった。当然ながら、ゲッソリナにいるハンベエはかかる怪文書が敵に渡った事もボルマンスク首脳に起こった珍問答も露ほども知らぬ身であった。 ハンベエを訪ねて『キチン亭』で一夜を過ごしたヒューゴは翌日、ハンベエに伴われて王宮に向かった。先ずは王女に会ってもらう、と言われた。 このハンベエという若造は総司令官のはずなのに何の威厳ぶるところもなく、一面識の何処の馬の骨とも知れぬ者を手続きも何も経ず(ハンベエ指揮下の王女軍にしち面倒くさい手続きが未だに残っているかどうかは分からないが)、王女に面会させると言うのだ。貴族軍に所属していた間、ただの一兵卒扱いで全く重用されなかったヒューゴはちょっと気分を良くしていた。二人に付いてロキも王宮に向かっていた。モルフィネスから呼び出されたのだ。「王女は割と気さくな人柄だから、鯱張る必要はないぜ。」とハンベエはヒューゴの緊張を解きほぐすように言った。日頃、エレナに対する無作法の数々を周りが冷や冷やしたり、苦虫を潰してる向きも有る事などハンベエは事ともしていない。「ああ、分かった。俺も一応貴族の端くれ、多少の儀礼は身に付いているので心配されるな。」「ああ、ヒューゴは貴族だったんだな。それにしては腕も立つし、心映えも気に入ってるぜ。」とハンベエが返したものだから、ヒューゴとしては返す言葉に困った。「それよりも、・・・・・・王女との面会を急いでくれるのも良いんだが・・・・・・、貴公の差してるような刀、何処で売ている?「この刀か。気に入ったのか?」「うん。気に入った。これから、腕も振るうつもりで此処に来た俺としては是非欲しい。」「師から授かった物で、買ったものではないからなあ。何処に売ってるんだろう? おおいロキ、お前知らないか?」「ハンベエの持ってる奴は珍しい物だから、おいそれとは手に入らないよお。ゲッソリナは大都市だけど。扱ってる人間が居るかどうかも・・・・・・。」 流石のロキも眉を八の字にした。「では、貴殿。予備を何本か持ってないか?」「これ一振りだ。」

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