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Yuji's Blog

そう呟く。

そう呟く。当然、動きがあったと伝令が駆け込んくるはずだが、一人としてここにまで貫通はしてこない。まあ定時報告や状況報告と変わらんからな。

 

「して陸司馬、伝令所の方はどうだ」

 

「はっ、現在左右二カ所で機能させております。左所を副幕として参軍の半数を詰めさせております」

 

 指揮下には無いが、hong kong international school cost 参軍と比べれば陸司馬の方が遥かに高官だ、そういった素振りは殆ど見せないが、実はこいつは官職を上から並べて数えた方が早い。それもいわゆる高官、二千石以上を並べた時、そう限定しても上からの方が早い位に上位に居る。

 

「右所は?」

 

「同じく半数の参軍を詰めさせております」

 

「正副の違いはなんだ」

 

 そこにこいつの経験と才能が見えるはずだ、或いは適性とでもいうのかもしれんが。

 

「右所には首座に着飾らせた親衛隊の伯長を座らせてあります」「基本として赤の旗指物は左所へ、それ以外は右所へ振り分けます」

 

「ふむ、応用としては?」

 

 簡単な理由での指示は推奨されるべきだ、例外がある場合についても聞いておくとしよう。

 

「顔の識別が出来ない者は赤旗でも右所へ回します。古参の親衛隊員が複数で幕の出入り口に勤務するようにしてありますので、誰かしら顔を知っているようにしてあります」

 

「旗揚げの時からのやつらが数十居るからな、そいつらならば今まで大体どこかで顔をあわせているわけか。人員の固定の良い部分とも言えるし、時に弊害を生むこともある。今回は良い部分が出たとしておこう」

 

 アナログな方法ではあるが、顔見知りが基本の親衛隊だ、赤い旗を持つ奴らはそういう背景があるからな。さて、観戦をするか。

 

 

 蜀軍は正面からじりじりと歩みを進めている、魏軍はそれをガッチリと受け止めるだけ。双方被害らしいもは殆ど無い、けが人は出ても死人は皆無という意味だが。本気で攻めるつもりは無い、取り敢えずはそう見えている。 何かを仕掛ける為の陽動というのはわかるが、何をするつもりだ。奥では呂軍師の隊が側面を窺う動きをしているな。魏の別動隊が脇を守っているが、双方精彩を欠くような動き。長いこと対陣していたから、そう感じる奴は恐らく戦で負けるやつらだ。まあ、俺の幕にもそういう参軍が居ないとは言い切れんのが現実ではあるんだがね。

 

 黙って戦闘を眺めること半日、いよいよ太陽が落ちていく。目立った動きは一切無し、それでも腕組をしてじっと見詰めるのみだ。夜襲……だろうな?

 

「島大将軍、お休みになられては?」

 

 隣の幕から参軍らがやって来て、もう寝るようにと言上してきた。ここに居たってやることはないんだから適切なんだよなそれは。

 

「そうだな、もう少ししたら休む。お前らももういいぞ」

 

 上官が居るからお先にと言いづらいだろうから、こちらから寝るようにと一言添えてやる。職場での上下、儒教面でのこともあり現代日本よりもそこは厳しい。

 

 ちらほらと赤いものが揺らめいているのが視界に入った。

 

「火の手が上がったな」

 

 ようやく動きをみせたか。だがあれではすぐに鎮火するだろうな。案の定燃え広がることは無く、火は直ぐに消し止められてしまったようだった。それでも夜襲を仕掛けたのは評価してやるべきではあるか。

 

 無言で幕を後にして寝所に入ることにした。数日は黙って見守る位の度量は必要だろうさ。 ぱっと目が覚めると外が明るくなっている。鉄のボウルのようなものに入っている水で顔を洗うと、洗いさしの木綿布で水けをふいた。外に出ると目を細めた、朝日が眩しいわけではない。

 

「ほう、そうきたか」

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