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Yuji's Blog

なりに、挨拶やみ

なりに、挨拶やみかじめ料が必要であろう。テキ屋や大道芸人の常識ではないのか?

 

「それにしても、じつに独創的な飴細工ですな」

 

 俊冬は男の答えをスルーし、並んでいる飴細工を一つ一つガン見する。「はは・・・。商売をはじめたばかりでして・・・」

 

 若い方が、肺癌篩查 苦笑交じりに応じる。若い方の男も、年配の男同様、額にムダに玉のような汗が浮かんでいる。そして、ムダに揉み手をしている。

 

「それはそれは・・・。なれど、一人前の飴職人の技量は、かなりのものですぞ。すくなくとも、「これはなにか」がちゃんとわかる程度のものは、つくれるはずでございます」

 

 俊冬は、やわらかい笑みを浮かべる。それから、子どもらに提案する。

 

「鉄、銀。ぽちが飴細工を披露してくれる。なんでも好きなものをいいなさい」

 

 とうとう、俊春の二つ名はぽちになってしまったらしい。

 

「わたしは、金魚がいい」

「では、わたしは雉がいい」

 

 市村、それから田村は、容赦なく難易度の高いものを要求する。

 

 無言でうなずく俊春。それから、脚でふいごを踏み、準備にはいる。

 

 とんだなりゆきに、飴売りの二人は声もない。ただ呆然としている。

 

 俊春は、手際よく作業をすすめてゆく。

 

 飴細工の作業工程は、「YOUTUBE」でみたことがなかったが、それでも俊春の作業が手際がいいことはわかる。圧巻は、葦のさきから空気を吹き込んだのち、和鋏で形を整えてゆく作業である。

 

 ちいさな鍋で熱された飴の塊に、の宿る瞬間である。

 

 所要時間わずか数分。あっという間に、金魚と雉ができあがった。

 

「ほー」

 

 斎藤と二人、ほれぼれと眺める。子どもらは、大興奮である。

 

 本職をみると、かれらですらうっとりみているではないか。

 

「ぽちは犬ゆえ、おおざっぱであるな」

 

 俊冬の謎解釈。

 

「悪うございました、たま。どうせ、猫のほうが素晴らしいのでしょうとも」

 

 そして、俊春の謎ヨイショ。

 

 双子は、異世界転生で飴職人もやっていたというわけだ。

 

 それにしても、いまにも泳ぎだしそうな金魚と、空へはばたきそうな雉である。このクオリティなら、ここで商売するよりかは、ちゃんとした店をかまえたほうがいいにきまっている。

 

 

「「でこちんの助」殿は、お元気か?」

 

 不意に、俊冬は飴売りたちのほうへ体ごと向き直り、尋ねる。

 

「たま。だから、「でこぴん野郎」と申しておりましょう」

 

 そして、使った道具をきちんと並べなおしながら、俊春が横槍をいれる。

 

「馬鹿を申すな、ぽち。「でこちんの助」と、あれほど申しておるではないかっ」

「なんですと?あれはどうみても、「でこぴん野郎」ではありませぬか?」

「「でこぴん野郎」などと・・・。かような無礼な二つ名があるかっ!」

 

 キレまくる俊冬。とつじょはじまった兄弟喧嘩に、子どもらも飴売りたちもひいている。

 

「でこちんの助」と「でこぴん野郎」の論争再びである。

 

 それらは、長州の大村益次郎のことを指している。

 

「なんと・・・」

 

 俊春は、泣きそうなで兄にちかづく。

 

「無礼なとは、どういう了見で申されておいでです、たま?「でこぴん野郎」とは、最大限の敬意を表してのこと。たまこそ、「でこちんの助」などと、馬鹿にしまくっているではありませぬかっ」

 

 切々と訴える、俊春。

 

「おいおいおい、ぽちよ。「でこちんの助」こそが、古今無双の二つ名。あのでこは、それ以上でも以下でもないわっ!愚か者めが」

 

 どんどん激昂する俊冬。このままだと、どーでもいい論争で弟をぶっ飛ばしそうな勢いである。ってか、これってなにかオチがあるのか?

 

「愚か者?」

 

 俊春は、斎藤とおれと相棒へ、すがるようなで訴えてくる。そして、さらには飴売りたちへも・・・。

 

「このわからずやのたまに、あなた方からも申してやってください」

 

 と、懇願がおわるよりもはやく、飴売りたちは地面におさえつけられている。

 

 刹那とか瞬きとか、そんな表現などながすぎるくらい、超絶神速のできごとである。

 

「「でこぴん野郎」にじかに会い、命じられたのであろう?なれば、「でこちんの助」とどちらがふさわしいか、申すまでもないな?」

 

 俊春は、右掌では若い方の男の項を、左掌では年配のほうの男の項をそれぞれ握り、片膝ついて地におさえつけている。

 

 その声は、これまでとちがって冷酷な響きがこもっている。俊春の掌におさえつけられながら、飴売り、いや、長州の間者たちは抵抗どころか指一本動かせないでいる。

 

「なれぬ間者など、せぬほうが身のためだな」

 

 俊冬は、地におさえつけられている間者たちの

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