忍者ブログ

Yuji's Blog

一体何を要求するのか。

一体何を要求するのか。

誰もが固唾を飲んで見守った。

 

 

道場が妙な静けさに包まれた時,斎藤の視線が隣りに逸れた。

 

 

「副長の小姓を一日お借りしたいのですが。」

 

 

「え?」 tote bag 香港

 

 

全員の視線は一気に三津に集中する。

三津は何?と小首を傾げる。全然話しを聞いてなかった。

 

 

『嘘どう言うこと?』

 

 

総司は呆然と立ち尽くした。

三津以上に衝撃を受けて,竹刀を持つ手がだらりと力無くうなだれる。

 

 

「ん?私が何?」

 

 

三津は自分を指差し,何事ですか?ときょろきょろ目を動かす。

 

 

「おう,構わねぇ。明日の昼まで貸してやるよ。好きにしな。」

 

 

土方は三津の頭の上で二回手を弾ませてから斎藤に差し出した。

 

 

「ありがとうございます。では行こうか。」

 

 

斎藤は三津の肩を軽く叩いて道場を出た。

とりあえずついて行けばいいらしい。

 

 

『斎藤さんについてたらいいって事?』

 

 

それぐらいは何ら問題ない。むしろ有り難いんじゃないか?

どう考えても土方と斎藤を比べたら斎藤の方が優しいに決まってる。

 

 

って事は拳骨からも解放される。

三津の目がらんらんと輝き,口元はにんまりと笑う。「では小姓の役目果たして参ります!」

 

 

この上ない笑みで今にも歌い出しそう。三津は跳ねるような軽い足取りで斎藤の後について行った。

 

 

『そんなに嬉しいのかよ。油断しきった顔でついて行きやがって。

俺じゃ不満だって言ってるようなもんじゃねぇか。

戻って来たら覚えてやがれ。』

 

 

貸してやったのに釈然としない。

土方は仏頂面を引っさげ,大股で道場を出た。

 

 

「お三津ちゃんありかよ。それなら俺だって参加すれば良かった。」

 

 

「斎藤先生も酒より女かぁ。」

 

 

三津を貸して欲しいだなんて斎藤も男だ。

一日一緒だなんて羨ましいと土方の時では言えずにいた事を口にしていると,

 

 

「残念ですが参加した所でみなさんに勝ち目はありませんよ。

どうです?今から鍛えてあげましょうか?」

 

 

隊士たちの背後に冷たい空気が漂う。

 

 

「ささぁ!汗を流しに行くとするか!」

 

 

その声の主が誰で,どんな顔をしているかは背を向けていても分かる。

殺気に命を奪われる前に逃げ出そうとしたが,

 

 

「逃がしませんよ?」

 

 

不逞浪士を逃がさない総司がたかが平隊士を逃すはずはない。

 

 

『三津さんを指名して何をする気なんでしょうか?

邪な気持ちは叩き潰しますから。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

喜んで尻尾を振りながら斎藤について行った三津は部屋の片隅に鎮座していた。

 

 

汗を流して来るから部屋で待ってろ。と言う斎藤の指示に大きく頷き,軽やかに廊下を歩いて新たな主人の部屋へ向かった。

 

 

「お邪魔しまーす。」

 

 

こうして中に入り斎藤の帰りを待った。

大人しく待っていたのだが,

 

 

「あんたは空気か。」

 

 

帰って来るなり斎藤の表情は曇り怪訝そうに見下ろしてくる。

 

 

『何故気配が分からん。』

 

 

いると分かっていたのにいる気配がしなかった。

とりあえず正面に腰を据え,無言で観察を始めた。

 

 

「あのぉ。」

 

 

何がしたいか分からず苦笑いで首を傾げた。

 

 

「不思議で仕方ない。お前だけ気配が分からんのだ。」

 

 

腕を組んで唸る斎藤を前に何故自分を要求したか判明した。

 

 

「あぁ!一日一緒にいれば分かるようになりますかね?

それとも分からないまま曲がり角でぶつかる運命ですかね?」

 

 

 

ぽんと手を打ち,悪戯っぽくペロッと舌を出す。

すると今まで表情一つ変えなかった斎藤の口元が微かに笑んだ。

 

 

『あ,笑った。』

PR

コメント

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

カテゴリー

P R