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Yuji's Blog

五十騎が先行して土煙を

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五十騎が先行して土煙を

 五十騎が先行して土煙を上げて走っていく、だが歩兵は速足以前の速度でのろのろと移動を続けた。追いかける方も同じなので脅威は少ない、だが追われている者の真理としては良くなかった。
 各所の砦に兵が残されているので、ここぞというところで近道を選択できないのは痛手だ。空腹のせいで歩みが遅くなっていくのも辛い。二時間も行軍していると、朱治が戻って来る。
「この先の伊河を越える石窟という場所が守りに適しています!」
 山地があり、河を挟んで平地があった。避孕藥 その平地の手前に石窟という郷があり、山間の道になっている。ここをやや西に行けば直ぐに平地になるので関所もなにも置かれていない、だが今はその回り道が時間の浪費になり面白くない。
「程普! 騎兵を率いて石窟に陣を敷くのだ、一隊を据えて敵を足止めする」
 いち早く騎兵だけを到達させ、そこで郷の住人らを動員して瓦礫で防備を敷かせるとともに、食糧を徴発する。手持ちの銀銭を全てくれてやると、納得して協力してくれた。遅れてやってきた本隊、無傷で戦える兵が千人選ばれると飯を与えられる。
「この場は某が指揮致しますので、どうぞ荊州へお向かいを」
「すまぬが程普、後は頼んだ。必ず落ち合おうぞ!」
 ここでも一口だけの飯を腹に入れ、さっさと河を渡る。船頭は渡し賃さえもらえれば後はどうでもいい、必死になって何度も往復をし続ける。五日も南へ行けば荊州だ、郷里に帰ることが出来るならばと我慢を重ね、翌日になりようやく郷でまともな飯にありつけた。 そこでもさして休むことなく、敗残の軍が歩き続ける、荊州の端に辿り着いた時には脱走兵もあり数は千人程にまで減っていた。だがようやく安全圏に来ると、胸をなでおろして顔を上げることが出来た。
「伯符よ、無事で居てくれ。島介殿、頼み申すぞ」
 離れたが最後、二度と顔を合わせることが出来ないことなど幾らでも考えられた。だが行った先が戦友であることに多少の望みがある、孫堅はこれより暫く長沙に滞在することになるのであった。
 初平元年、三月下旬。孫堅が今まさに洛陽から領地へと撤退していく中で、孟津を占領していた島介のところに僅かな騎兵がやってきていた。年若い武者と、それを補佐すべく寄り添う黄蓋だ。それに付随する兵士が一握りのみ、どれもこれも傷を負っていて散々な状態になっている。
「止まれ、何者だ!」
 街の外で兵士に止めだてされると、中年の部将が「長沙太守孫堅が長子、孫策が島将軍へ言伝を持ち参った。某は黄蓋と申す、お取次を」乱れた姿でも礼儀を以て申告する。ただごとではないと感じた兵士が、当直の部将である趙厳へ伝えると直ぐに島介への面会が手配された。
 異常があれば直ぐに上長へ連絡をあげるようにとの命令が徹底されていた。ではなぜ当直が居るのかと言うと、その場で対応しなければならないことがあった際に、即座に行動が起こせるように。即ち、少しばかり先の丘にまで追撃者が見えていたので、手勢を率いて追い返すため出撃したというところまでが趙厳の仕事といえる。
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